「にいがたレポ」を見ながら考える、市民ライター参加型ご当地ブログの動向と、地方におけるメディア新規事業の変化について

新潟にUターンしてきて間もない頃、
地元の観光地の検索に使っていた、「にいがたレポ」というサイト。
http://niigata-repo.com/

新潟にUターンしてから休日レジャー難民だった
自分には、大変ありがたいサイトだ。

ふと、最近のローカルメディアやご当地ブログの動向が気になった。
ちょっと検索しただけでも、ここ数年のローカルメディア界隈では、
こういった市民参加型メディアの立ち上がりが進んでいるらしく、
市民参加を冠するご当地ブログはザクザク見つかった。
・埼玉 そうだ埼玉
・仙台 河北新報
・大阪 シティライフNew

ちょっと思うところあったので、エントリにしておこう。

目次

ローカルメディア市場の移変わり

僕らが10代だった頃、ローカルメディアの新規事業と言えば、
広告ベンチャーが発行するフリーペーパーが注目の的だった。

無料クーポンを起点としたビジネスモデルを
リクルートが見事に完成させ、地方メディアや印刷屋さんに交じり、
僕みたいな承認欲求丸出しの学生や、異業種のやり手経営者さんらが
わんさか飛び込んでいったあの頃が懐かしい。

今起きているローカルメディア界隈での動きは、
消費者のメディア接触媒体の変化、
つまりスクリーン(PC・スマホ・タブレット)への接触が
紙やテレビに代替してきた(パイを奪った)ことの現れだろう。

おそらく、主要都市から離れた地方だけで絞ってみても、
レイトマジョリティやラガードを取り込みつつあるのだろう。
自分の周りでも、今や田舎の農家のおじいちゃんだって、
スマホで天気予報を見てから田んぼへ行き、
孫とチャットやLINEで写真を受け取る時代だ。

そういったメディア市場の変化の中で、
市民参加型を掲げるブログメディアは、
2010年中期頃から各地で立ちあがってきたようだ。

また、コンテンツの作り手側にも、変化があった。
WordPressはもう既に、SEだけのモノじゃなくなり、
アフィリエイトの流行によって、主婦など一般人にも浸透、
企業サイドではオウンドメディアによるインバウンドマーケ対応で
Webライターの潜在需要が高まり、クラウドソーシングの登場で、
Webライティングは立派なジョブとなった。
これらの動きも、変化を作り出した重要な要因になっていると言えよう。

新旧ローカルメディアの大きな違い

さて、この動きの中で興味深いのは、媒体のシフトによって発生する
コンテンツの作り込み方の変化と、ビジネスモデルの変化への対応に、
ご当地ブログ業界は、今まさに、試行錯誤中であるところだ。

以前のフリーペーパー発刊ラッシュの時は、
リクルートのビジネスモデルが起爆剤になり、
ビジネスモデルとコンテンツスタイルが
おおよそセットになって全国に波及したのに対し、

今回のメディアのシフト、
特に独立系やベンチャー系の動きは、
PVを集めてからビジネスモデルや
キャッシュポイントを考えていこう、という
かなりWEB屋さん的な思想をベースにして、
どこのチームもプロジェクトを進めているようだ。

一般的にブログメディアは、
クリック広告を中心に立上げ初期の収益設計し、
CPM幾らで月間PVどのくらい・・・?
そのためには月刊記事数はこのくらいで・・・
といった具合にKPIを設定して作り込んでいく。

その上で数人のライターでコンテンツの質と量を維持しつつ、
事業としてペイさせるためには、
アドセンスなどの高収益クリック広告と、
契約掲載広告を使ったうえで、
GIZMODE級のPV(つまり全国規模のPV)が必要になる
→参考 GIZMODEの媒体資料PDF

そうだ埼玉のケース

これを踏まえて、たとえば埼玉の「そうだ埼玉」を見てみよう。
soudasaitama
※画像はそうだ埼玉TOPページより

埼玉は人口715万で、都心に近くITリテラシーも高いだろう。
コワーキングスペースを中心としたネタ集め、人材集めの場もあり、
さらに芸能人のボランティア出演も、一定頻度で実現している。

そんな埼玉でさえ、収益に結びつきそうなバナーよりも、
ライター募集や出演者の募集バナーの方が多いのである。

ご当地ブログを成功させるには

こういった状況で事業をペイさせるには、
従来と異なるキャッシュポイントの設計と
参加ライターさん達のマネジメントを踏まえた
オペレーション設計ができるかどうか、
この2点が成功のカギになってくるのだろう。

一番簡単なのは、既存メディアの傘下に入り、
権威性の付与による寄稿者への承認欲求の提供と、
コンテンツの質の管理メソッドを外注してしまうことだろう。
それはそれで良いと思うし、一種の相利共生だと思う。

だけど、ITベンチャー界隈と関わりを持った自分は、
せっかく新しくて、かなり面白い動きを展開している
独立系メディアをみると、やはり、身売りとは
別の形での成功を見てみたい…と
至極自分勝手ではあるが、期待を寄せてしまう。

もしかすると、人口が80万人を切っている
徳島、島根や鳥取あたりから、母数の不利を逆手に取った、
ブレイクスルーを起こすメディアが現れるかもしれない。

にいがたレポ、応援してます

それにしても、こんなにも自分も行ってみたくなるような
記事を書いている、にいがたレポのライターさんはすごいと思う。

にいがたレポ
※画像はにいがたレポ、たべるカテゴリより

様々なトライアンドエラーを行っていることも、
サイトの各所から伝わってきて、めちゃめちゃ応援したくなる。
不定期でも構わないので、ぜひぜひ続いていってほしい。

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